□ episode Ⅱ □ スタートライン |
悲しみに打ちひしがれる一家の元に、国からの使者と、それに伴われて二人の女
の子がやって来た。 使者の話はこうだ。 【奥様は、先の任務では国境警備に就かれていた。その際の正式な入国者に対応なされた。彼らが滞在先を探す数日間は、貴君らも知っている通り国営の宿に入っていてもらう。 一週間程度の日が経ち、そろそろ行く先が決まろうという頃、不法入国者がやってきた。奥様が対応された入国者の話によると、それは他国からの追跡者でありひどく凶暴な性質であるという。 その話を聞いた奥様は、彼らを保護することを約束し、一部隊を率いて排除に向かわれました。奥様は名のあるソーサラーでしたが、追跡者の一人は某国の大物であり……奥様は相打ちという形で敵を下されました。 そして、その際の奥様が対応された入国者がこのお二人です。奥様の遺言でここへ連れて来るようにと。国賓でいらっしゃる故、この後の処置に困るようであればここへご連絡ください】 使者は、二人と文書を残して消えた。 アヴェンは、二人を家に上げて話を聞いた。 ノーブルレッド、祐菜と名乗った彼女らは姉妹であり、某国の騎士と魔法使いだった。 ある事件で両親と住む家、仕える場所すら失い、この国に流れてきたのだと言う。 ノーブルはシレストゥルよりも少し上、また祐菜はまだもこちぃよりも年が若い。 妻が彼女らを、我が子らと重ね見たことは容易に想像でき、この子らをどうしようとしたのかさえアヴェンはわかってしまった。 “この不遇な運命を生きてきた二人に安息の日々を” 二人の娘を持つ父として、また最愛の妻の最後の願いを叶える為に、ノーブルレッドと祐菜を、アヴェンは養子に迎えることにした。 妻が命を賭して守ったこの二人は、きっとこの家に来るべくして来たのだ……と。 新たな家族としてのスタートだった。 |
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